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[今週の一言] 2007年10月17日号
福田内閣は「美しい星50」を撤回し、先進国にガス削減目標を 米国のアル・ゴア元副大統領と、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今年度のノーベル平和賞を受賞した。ノーベル賞委員会の勇気ある行動に拍手を送るとともに、ゴア氏とIPCCの「人為的に起こる地球温暖化の認知を高めた」実績を改めて高く評価したい。福田康夫首相もゴア氏の貢献を称えたが、彼の受賞が温暖化防止対策への米国世論を前向きに変え、それが来年の洞爺湖サミットの米国政府の出方にも反映するだろうことを認識しておく必要がある。 IPCCは今年前半に公表した第4次評価報告書で、「今世紀末の気温は1980〜99年と比べて1,8〜4度上昇する可能性がある」「気温上昇が90年に比べて2〜3度以上になると、地球全域で悪影響を受ける」「気温上昇を2度程度に抑えるには、温室効果ガスの排出量を2050年までに00年より半減させる必要がある」の3点などを明らかにした。温室効果ガスを半減する方法については明記していないが、パネルに参加している科学者の大多数は、「先進国が排出量を大幅に抑制する義務を負うことによって、地球全体の排出量を半減させる動きをリードしなければならない」と考えている。 ゴア氏の主張はIPCC報告書にほぼ沿っている。京都議定書を決めた97年の温暖化防止京都会議でも、排出量の国・地域別削減率をめぐって先進国が対立し、こう着状態に陥った会議を決着させたのは、ゴア氏のイニシアテイブだった。 ブッシュ政権は「ポスト京都議定書」の期間に国・地域別削減目標を設定することに反対だが、シュワルツネッガー・カリフォルニア州知事をはじめ地域のリーダーの多くは、党派を超えてゴア氏の主張を支持している。彼がノーベル賞を受賞したことで、こうした傾向に拍車がかかり、ブッシュ政権も排出量削減目標の設定に前向きになることを迫られる可能性がある。そうなったら、安倍・前政権が打ち出し、福田政権が引き継いだ「美しい星50」プランは先進国の中でも最も現状維持的で、これでG8サミットをまとめることなど、おぼつかなくなる。 まして、ポスト京都議定書の条約がまとまる09年後半、米国は民主党政権(ヒラリー・クリントン政権?)下で、環境政策へのゴア氏の影響力が強くなっている可能性を考慮すると、福田内閣は、内外の環境政策を一度、「美しい星50」から原点に戻して、再構築することが望ましい。その場合、先進国に温暖化ガスの削減目標を課すことが不可避となることはいうまでもない。 (早房長治) |