[今週の一言] 2010年3月5日号

■東アジア経済共同体を推進し、新成長戦略の柱に■
インフラ建設がエンジン 官民共同で支援機構を


 新年度予算案が3月2日、衆院を通過し、年度内成立が確実になった。景気下支えのために迅速な執行が必要だが、鳩山内閣が並行してやらなければならないのは、昨年末に発表した新成長戦略の具体的な内容づくりである。新成長戦略には成長達成の手段が4つ掲げられているが、その主柱とすべきなのはインフラ建設をエンジンとする東アジア経済共同体の推進ではないか。

 新成長戦略には成長手段として「日本の強みを生かした成長」と「フロンティアの開拓による成長」が示され、具体的な分野として、それぞれ、環境・エネルギー技術と健康産業、アジア経済の発展と国内の観光振興・地域活性化が掲げられている。

 4つのどれも発展の可能性がある。だが、最も可能性が大きいのはアジア経済の発展であり、それと一体化することによる日本経済の発展であろう。アジア各国ですでに力強く動き始めているのは高速鉄道、高速道路、原発などのエネルギー施設、上水供給・下水処理を含む環境関連施設、電話などのIT関連施設などの建設である。

 新成長戦略には、アジア経済活性化に関して、自由貿易協定の推進、ヒト・モノ・カネの流れを2倍にすること、アジアの所得の倍増、鉄道・水・エネルギーのインフラ建設などの手段や目標が雑然と並べられている。優先順位も付いていない。これでは何をどうしたらいいか分からないし、成果も予測しようがない。

 一方で、鳩山政権は長期目標として東アジア経済共同体の建設を標榜している。それなのに、この大目標と新成長戦略におけるアジア経済の活性化とをまったく関連付けていない。なぜなのか。不可解である。

 将来、東アジア経済共同体を構築する場合、手本になる欧州連合(EU)は石炭・鉄鋼共同体からスタートし今日の政治経済共同体に進化した。その例に学べば、東アジア諸国も最初は重要だが、やりやすい課題から取り組めばいいのである。今日のアジアにとって、それはインフラ建設に他ならない。参加国としては東アジア諸国のほか、米国、ロシア、オーストラリアを巻き込むことが望ましい。さらに、カナダ、ニュージーランド、インドなどが参加を希望したら、歓迎するのは当然である。

 上に例示したようなインフラの建設技術は、いずれも日本企業の得意とするものばかりである。日本としては官民が足並みをそろえて技術援助、資金提供などを行い、人材養成にも手を貸すべきである。そのようなことを円滑に行い、また利益を挙げるためにも、官民共同の建設支援機構を立ち上げることが必要である。

 日本経済はもともと底力があるので、東アジア経済共同体づくり戦略で弾みがつけば、中成長への復帰は可能であろう。その場合、同時に、エコ技術総合開発計画と介護・医療の本格的な産業化計画を国内的にスタートさせれば、成長の足取りはより確実なものとなる。金融分野で、危機再発防止策を講じ、デフレ脱却を主目的とする緩和策を実施することが成長の足場を固めるのに役立つのはいうまでもない。          
(早房長治、3月5日記す。)